血尿は大きく2つに分類できます。
1.肉眼的血尿(血尿):目でみてわかる血尿
2.顕微鏡的血尿(尿潜血):見た目では血尿だとわからず、顕微鏡でしか分からない血尿
それぞれの血尿についてみてみましょう。
見た目では血尿だとわからなくても、尿の沈殿物を顕微鏡で観察して、血液(一定以上の赤血球)がみえる場合に “血尿”と判断されます。
学校や職場の検診で“尿潜血陽性”と言われて、泌尿器科を受診される方が多いです。
蛋白尿とは、血液中に含まれているたんぱく質が尿に漏れ出る状態です。
元々、尿には微量のたんぱく質は含まれているのですが、病気などで尿に多量のたんぱく質が漏れ出してしまうことがあります。
蛋白尿は、多くの場合、検診における尿検査で発見されます。
蛋白尿には、病気で起こる場合と生活内容によって起こる場合があります。
妊娠している女性にも蛋白尿が見られることがあります。
以下に代表的なものを示します。
頻度としては、起立性や運動性などの一過性の蛋白尿であることが多いですが、病的蛋白尿との鑑別が必要です。当院では泌尿器科医と腎臓内科医が連携して診療を行い、正確な診断ができるように努めております。お気軽にご相談ください。
むくみとは、“浮腫”とも言われます。
むくみは血管の外の塩分と水分の量が過剰になった状態のことをいいます。
通常、たくさんの塩分を摂ると喉が渇いてたくさんの水分を飲むようにできています。
健康な方は、この摂取した塩分と水分が腎臓から尿としてすべて排泄されます。
しかし、心臓・肝臓・腎臓の機能が落ちている方(心不全、肝硬変、腎不全)やネフローゼの方は、この塩分と水分の排泄がうまくいかず、体の中に貯まってしまうため、血管の外に漏れ出てきてしまい、“浮腫(むくみ)”の状態となります。
さまざまな病気がありますが、代表的なものについて紹介します。
腎臓は摂取した塩分と水分を尿へ出してくれる大事な臓器であり、腎臓が障害されると、浮腫(むくみ)が出やすい状態になります。
腎臓病によるむくみには2つのタイプがあります。
むくみのある方は、腎臓が大丈夫かチェックしておくと安心ですので、腎臓内科を受診することをお勧めします。
心臓病や肝臓病の方で、むくみがある場合は、主治医の先生とよくご相談されることをお勧めします。
また下肢に限局したむくみの場合には、下肢を挙上すれば改善する良性のむくみの他、下肢の静脈血栓症や骨盤内腫瘍などの病気によるむくみもありますので、状況に応じた診断・治療が必要になることがあります。
STD(性感染症)とは性行為によってうつる感染症のことであり、一般的に性病といわれている病気です。代表的なものとして、HIV・淋病・クラミジア・梅毒・尖圭コンジローム・ヘルペス・トリコモナスなどがあげられます。この病気は男性も女性も感染します。
淋病は細菌感染症の一つです。
男性は、おちんちんから膿が出て、尿が出る時に強い痛みを伴います。
女性は、症状があまり無く、進行すると膿のようなおりものが出たりします。さらに進行すると子宮内膜炎・卵管炎・腹膜炎等を起こすこともあります。
薬物治療(抗生剤投与)を行います。
クラミジアは細菌感染症の一つです。
男性は、おちんちんから膿が出て、尿が出る時に痛みを感じることがあります。
女性は自覚症状が出にくいのが特徴です。
薬物治療(抗生剤投与)を行います。
梅毒は細菌感染症の一つです。
感染初期にはペニスや陰部に赤くて固いはれ物ができ、放置すると約3ヶ月後にその赤みが全身に広がります。さらに進行すると、ゴム腫などの皮膚症状があらわれます。現在は、早期に発見して治療(抗生剤投与)を行えば完全に治る病気です。
尖圭コンジロームはウイルス感染症の一つです。
症状は、ペニスや陰部にイボ(腫瘍)ができて、カリフラワー状になることもあります。
治療は、軟膏を塗る方法が主流となりつつありますが、他に冷凍療法・外科的切除などがあります。再発の可能性があり、その度に治療が必要となります。
ヘルペスはウイルス感染症の一つです。
初めての感染では、ペニスや陰部に水泡が出来、それが潰れて潰瘍になり激しい痛みを伴います。治療は薬物療法(薬の服用や軟膏を塗る)を行います。
再発の可能性があり、その度に治療が必要です。
トリコモナスはトリコモナス原虫による感染症です。
男性はまったく無症状で、女性は黄色い臭いの強いおりものとかゆみを伴う病気です。
治療は薬物療法を行うことで完治します。
男性更年期障害とは、加齢により男性ホルモンが低下し、身体や心にさまざまな症状が出てくる状態です。更年期障害は、女性特有の病気ではなく、中高年の男性にもみられます。男性更年期になると生活の質が損なわれることになります。
男性更年期の症状は、男性ホルモンの低下が根底にあり、身体の変調と心の不調の2つがあります。40歳代半ば以降の発症が多いと言われていましたが、ストレスが誘因となることもあり、最近では更に若い方でもみられるようです。
症状には以下のようなものがあります。
患者様の症状、採血による男性ホルモン濃度の測定などから診断します。
生活習慣病や初老期うつ病等との鑑別も重要です。
軽症ではカウンセリングや薬物療法(漢方薬、EDの治療薬、ビタミン剤等)を行います。
重症では男性ホルモン(テストステロン)補充療法を行います。
膀胱炎とは、尿をためる臓器である 膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。
原因の多くは 細菌感染によるものです( 大腸菌が半数以上を占めます)。
女性に多く発症し、女性の4人に 1 人がかかるともいわれています。
男性よりも女性に多い理由として、①女性の尿道は男性に比べて短いため、細菌が逆行して膀胱に入りやすい、②女性の尿道は、細菌のいる膣や肛門との距離が短い、などが挙げられます。
通常は抗生物質で治療します(間質性膀胱炎は除きます)。
近年、高齢化社会において、男女を問わず尿漏れで悩む方が増えてきています。また、女性の尿漏れに対する認知度も高くなってきています。
現在は薬物療法が進歩し、薬で良くなる尿漏れも多くなっています。
尿漏れでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
尿漏れには以下のようなものがあります。
腹圧性尿失禁とは、女性に特有の尿失禁で、骨盤底筋群(おすその臓器を支える組織や筋肉)の力が弱くなったために生じます。具体的には、出産や加齢などにより骨盤底筋群の力が弱くなり、膀胱の位置が下がるため腹圧がかかりやすくなり尿道を閉める力も弱くなるため尿失禁が出現します。
治療は、骨盤底筋の筋力アップ(骨盤底筋体操)や薬物療法を中心に治療を行います。
症状によっては、手術療法が必要になります。
切迫性尿失禁は、膀胱の蓄尿機能(尿をためる働き)が低下して、尿意があったときに我慢できずに失禁してしまったり、知らないうちに失禁していたりする状態をいいます。
多くの場合、膀胱が過敏な状態(過活動膀胱)になっています。
具体的には加齢、脳血管障害後(脳梗塞・脳出血など)、腰椎の疾患(腰椎ヘルニアなど腰痛を起こすような疾患)などです。
前立腺肥大症や膀胱炎などが原因の場合もあります。
治療は、薬物療法が基本となります。
流性尿失禁は、膀胱の排尿障害が原因で、尿が膀胱にいっぱいになった状態からあふれ出ているものです。大変危険な状態です。
代表的な原因としては、前立腺肥大症などよる尿路通過障害があげられます。
治療は、通過障害の場合には手術や薬物療法が行われます。
溢流性尿失禁の場合、原因を取り除いても完治しない場合もあり、間欠自己導尿(自分でくだを入れて尿をぬくこと)が必要になることがあります。
勃起機能の低下は、“ED”とも呼ばれています(英語のErectile Dysfunctionの略)。
EDは、専門的には、“性交時に十分な勃起やその維持ができず、満足な性交が行えない状態”と定義されています。現在は内服薬で治療を試みることができます。
EDの治療は、薬の服用が中心となっています。
状況によっては、カウンセリングや外科処置が有効な場合もあります。
PDE-5阻害剤が用いられており、基本的には安全で大変有効です。
当院ではバイアグラ、レビトラ、シアリスが処方可能です。
背中が痛い場合(片側の腰背部~脇腹のことが多い)、泌尿器科では以下のような病気が考えられます。整形外科の腰痛や内科の内臓系の病気(胆嚢、膵臓、大腸)との鑑別が必要です。
泌尿器科で最も頻度の高い病気の一つです。
腎結石とは、尿に含まれているカルシウム・シュウ酸・尿酸などが結晶となり、腎臓内の尿の通り道に沈着して増大したものです。多くは無症状ですが、検診(エコーの異常・尿の潜血反応陽性)や、時に背部の鈍痛・血尿などの症状で発見されます。
尿管結石とは、腎結石が尿管に落ちたものをいい、症状として背中から脇腹にかけての激しい痛みや血尿などがでます。吐き気、嘔吐、冷や汗などを伴うこともあります。高熱がある場合は尿路感染症があり敗血症となる危険性もあるため注意が必要です。
結石の原因は、体質も考えられますが、不規則・不摂生な食生活、肥満、高血圧、飲水不足、副甲状腺の病気などがあげられます。診断については、エコー・X線写真・CTなどの検査で結石が同定されれば確定診断となります。
治療は、まず痛みをとり、保存的治療または外科的治療により結石を排出させます(以下1~3)。
再発しやすい病気であるため、治療後も水分補給を欠かさずに、バランスのよい食事と規則正しい食生活を続けることが大切です。また定期的に検診をうけることも大切です。
腎盂腎炎とは、腎臓に細菌が入り込み炎症を起こした状態をいいます。
症状は、片側の腰背部痛と高熱です。膀胱炎が原因の場合は排尿痛も伴います。
原因としては、単純性膀胱炎がこじれて腎盂腎炎を発症することが多いといわれており、治療は多くの場合、抗生剤投与で改善します。しかし排尿障害や尿管結石、膀胱尿管逆流症、水腎症などの病気が原因となっていることもあり、その場合は原因の解除も合わせて治療を行う必要があります。腎盂腎炎を繰り返す場合は、腎機能が低下してしまうので、しっかりと原因も調べながら治療をする事が必要です。
腎がんは、初期の頃は症状がなく、検診で発見されることが増えています。
進行すると血尿・腰背部の痛み・腹部腫脹・発熱等の症状が出てきます。
治療は抗がん剤が無効であり、手術で患部を摘出することが最も有効です。薬物治療(インターフェロンや分子標的治療薬)をする場合もあります。
亀頭包皮炎とは、亀頭と包皮(おちんちんの皮)の間に細菌が繁殖して炎症を起こした状態です。
包茎とは亀頭が包皮(おちんちんの皮)でおおわれたままの状態です。
手でむくと、亀頭の一部が露出する場合は仮性包茎であり、子供では生理的な状態であるため心配いりません。しかし、包皮が全くむけない場合は真性包茎であり、以下の【症状】を伴う時には治療が必要です。
・包皮口(おちんちんの皮の先端)が極端に狭く、おしっこの時に包皮が風船のように膨らむ
・亀頭包皮炎を繰り返す
おねしょ(夜尿症)とは、5~6歳を過ぎても、夜眠っている間におしっこをたれる状態をいいます。
とくに学童期に入っても改善しない場合には、治療の対象になります。なお、幼児のおねしょ(夜尿)は治療の必要がありません。
夜尿が自然に治る平均年齢は7~8歳ですが、この頃まで症状が続く場合は治療を開始します(ただし、子供の発達には個人差があります)。
治療は生活指導と薬物療法を組み合わせて行います。
お子さんが夜尿症で悩んでいましたら、専門医にご相談下さい。
包茎とは、亀頭が包皮(おちんちんの皮)でおおわれたままの状態です。
以下のように分けられます。
気になる場合には、お気軽にご相談ください。
普段は亀頭が包皮(おちんちんの皮)におおわれていても、手で包皮をひっぱれば亀頭が出てくるものや、勃起したときには亀頭が出るものを仮性包茎と言います。
基本的には仮性包茎は病気でありませんので治療の必要はありません。
手で包皮(おちんちんの皮)をひっぱっても亀頭が露出しない、あるいは無理矢理むくことはできても包皮が狭くてかなり痛い、などの場合を真性包茎といいます。
真性包茎は、手術が薦められる状態とされています。
包皮(おちんちんの皮)の先端が狭いのに、無理矢理剥いたために包皮が元に戻らなくなった状態をいいます。通常、かなりの痛みを伴います。
なるべく早く元に戻す必要があり、時間が経っていなければ自分で戻せることもあります。
しかし、しばらく経つと包皮が極端に腫れてきて、自分では元に戻すことが困難となります。このような状態になった場合は、一刻も早く泌尿器科に相談してください。
状態にもよりますが、再発予防も兼ねて、手術の適応となることがあります。
一般的に小児は、包茎の状態が普通です。
極端に包皮(おちんちんの皮)の先端が狭くて排尿に影響がある場合や、何度も炎症を繰り返す場合を除けば、積極的な治療は必要ありません。
成長とともに、だんだんむけてくるものです。
子供の包茎が気になる場合には、お気軽にご相談ください。